「投資なんて自分には関係ない」と思っていた私が、59歳で新NISAを始めました。
きっかけは、定年後の再雇用制度について調べたことでした。給料が半分近くになると知ったとき、正直、頭が真っ白になりました。「このままでいいのか」という焦りが、私を投資の世界へと背中を押してくれたのです。
この記事では、投資未経験だった私が2024年に新NISAを始めるまでの経緯と、S&P500から全世界株式への乗り換え、そして高配当株デビューまでをリアルにお伝えします。同じように迷っているシニアの方の参考になればうれしいです。
① 投資を始めようと思ったきっかけ
定年まであと数年というタイミングで、会社の制度をあらためて確認しました。定年後も同じ会社で働ける「再雇用制度」があることは知っていたのですが、給与の水準まではちゃんと調べていなかったのです。
調べてみると、再雇用になると給与が現役時代の5〜6割程度になるケースが多いと書いてあります。ざっと計算してみると、毎月の手取りが十数万円減る計算でした。
「年金が始まるまでの数年間、どうやって生活するんだ……」
そのとき初めて、老後のお金を真剣に考えました。預貯金だけでは心もとない。でも株や投資信託なんて、自分には縁のない世界だと思っていました。そんなとき、ニュースや雑誌で「新NISA」という言葉が目に入ってきたのです。
「税金がかからないらしい」「少額から始められるらしい」——そんな断片的な情報を集めながら、少しずつ調べ始めました。
② 最初に感じた不安・迷い
調べれば調べるほど、わからないことが増えていきました。
まず迷ったのが「どの証券会社を使えばいいか」という問題です。ネットで調べると、楽天証券・SBI証券・マネックス証券……いろいろな名前が出てきます。それぞれに「ポイントがつく」「手数料が安い」「使いやすい」などと書いてあって、どれを選べばいいかさっぱりわかりませんでした。
▶ 新NISA口座の開き方|SBI・楽天・マネックス徹底比較
次に怖かったのが「損するかもしれない」という恐怖です。投資は元本保証がない。それは頭ではわかっていました。でも、せっかく何十年も働いて貯めてきたお金が減るかもしれないと思うと、なかなか踏み出せませんでした。
「最初の1万円を入れるのが怖い」——冷静に考えると笑い話のようですが、当時は本当にそう感じていました。1万円なんて失っても生活には困らない金額です。でも、「投資で損をした」という現実を受け入れる覚悟ができていなかったのだと思います。
妻に相談すると「やってみればいいんじゃない?」とあっさり言われました。そのひと言が、最後の背中を押してくれました。
③ 実際にやった最初の一歩
証券会社は楽天証券にしました。理由はシンプルで、すでに楽天カードを持っていたからです。楽天カードで積立の支払いをするとポイントがつくと知り、「どうせなら使い慣れたサービスがいい」と判断しました。
口座開設の手続きはスマートフォンで完結しました。マイナンバーカードがあれば本人確認もオンラインでできます。申込みから口座開設まで、約1週間ほどかかりました。
最初に選んだのは「楽天・S&P500インデックス・ファンド」の積立です。S&P500というのは、アメリカの代表的な500社の株価をまとめた指標のことで、長期的に右肩上がりで成長してきた実績があります。個別の株を選ぶ知識も自信もなかった私には、「アメリカ全体に投資する」というシンプルさが合っていました。
2024年——初めての積立が実行された日、アプリを開いて残高を確認しました。1万円が、1万数十円になっていました。たった数十円の利益でしたが、「お金がお金を生んだ」という感覚が、なんとも不思議で嬉しかったことを覚えています。
④ トランプ政権就任後の不安と乗り換え
S&P500の積立を続けていた私に、2025年に大きな不安が訪れました。トランプ政権が就任し、関税政策や経済政策への懸念から相場が荒れる場面が増えてきたのです。
「アメリカ一本に集中しすぎているのではないか」——そんな気持ちが芽生え始めました。もしアメリカの景気が長期的に悪化したら、という不安です。
そこで調べたのが「全世界株式(オルカン)」という選択肢です。世界中の株式に幅広く分散投資できるため、アメリカだけでなく日本・ヨーロッパ・新興国も含めて投資できます。
2026年1月から「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」に切り替えました。アメリカへの集中リスクを分散したいという判断です。S&P500も悪い商品ではありませんが、自分の気持ちが安定する方を選ぶことが長続きの秘訣だと思っています。
⑤ 2026年1月から高配当株デビュー
▶ オルカン vs S&P500|60代シニアに向いているのはどっち?
全世界株式への切り替えと同じタイミングで、高配当株投資も始めました。
高配当株とは、定期的に多めの配当金(企業からの利益の分配)を出す株のことです。積立投資は将来のための資産形成ですが、高配当株は年に数回、実際にお金が振り込まれてくる感覚があります。その「キャッシュが入ってくる」という実感が、投資を続けるモチベーションになっています。
初期投資は50万円。銘柄の選び方がわからなかったので、楽天証券の「スーパースクリーナー」を使いました。スーパースクリーナーは、配当利回り・財務の安定性・業種などの条件で銘柄を絞り込めるツールです。投資初心者でも条件を入力するだけで候補が出てくるので、非常に助かりました。
最初は10社程度に分散して購入しました。1社あたり数万円ずつ、リスクを分けるイメージです。
⑥ 始めてみてわかったこと
値動きは気にしすぎない方がいい
最初のころは毎日アプリを開いて残高を確認していました。でも、相場が下がった日は気分が落ち込みますし、上がった日は「売ってしまおうか」という誘惑が出てきます。今は週に1回程度しか見ていません。積立投資は長期間続けることに意味があります。短期の値動きに一喜一憂するのは体にも精神にもよくないと気づきました。
投資は「難しいもの」ではなかった
始める前は「投資は専門知識がないとできない」と思っていました。でも、積立投資は一度設定すれば毎月自動で動いてくれます。難しい判断が必要な場面は、思っていたよりずっと少なかったです。怖かったのは「知らないから」だったんだな、と今は思っています。
⑦ 今ならこうする(これから始める方へ)
証券会社は使い慣れたサービスで選べばいい
楽天ユーザーなら楽天証券、PayPayをよく使うならSBI証券、という選び方で十分です。「完璧な選択」を探して迷い続けるより、とりあえず始めることの方がずっと大事です。
最初は月5,000円か1万円から
生活費に影響しない金額で始めて、慣れてきたら少しずつ増やせばいい。最初から大きな金額を動かす必要はありません。
商品はS&P500かオルカンで十分
投資初心者の方は、「S&P500」か「eMAXIS Slim全世界株式(オルカン)」のどちらかを選べば問題ありません。どちらも長期投資向けの王道インデックスファンドで、信託報酬も低く、シンプルに運用を続けやすいのが特徴です。
私は最初にS&P500へ積立投資をしていましたが、途中で積立を停止し、現在はオルカンの積立を新たに始めています。なお、S&P500から資産を移したわけではなく、あくまで積立先を切り替えただけです。
どちらを選んでも、大きな差が出るかどうかよりも、「長く続けられるか」が重要です。無理のない範囲でコツコツ積立を続けることが、結果につながります。
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怖くて当然。でも始めないと何も変わらない
投資に不安を感じるのは普通のことです。私も最初の1万円を入れるのに何週間も悩みました。でも、始めてしまえば「あの悩んでいた時間は何だったんだろう」と感じます。銀行にお金を置いておくだけでは、インフレで実質的にお金の価値は下がっていきます。「何もしない」ことにも、実はリスクがあるのです。
59歳から始めた投資も、気づけば2年が経ちました。S&P500から全世界株式への乗り換え、高配当株デビューと、試行錯誤しながらも「始めてよかった」という気持ちは確かにあります。
老後のお金が不安な方、投資に興味はあるけど怖い方——まず少しだけ調べてみてください。やってみると、思ったより怖くないかもしれません。
※本記事は個人の体験談です。投資は元本保証がなく、損失が生じる可能性があります。投資の判断はご自身の責任で行ってください。


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