「退院後は在宅でお願いします」
2年前、母が転倒して大腿骨を骨折したとき、医師からそう言われた瞬間、私の頭は完全に真っ白になりました。
59歳。定年まであと1年というタイミングで、突然「介護する側」になった私は、正直なところ何から手をつければいいのか、まったく見当もつきませんでした。
この記事では、あのときの私と同じように戸惑っている方に向けて、介護が始まった日から私がやったこと・やらなかったこと・やればよかったことを、体験をもとに正直に書きます。
退院の日、私がまずやったこと
母が入院していた病院のソーシャルワーカーさんに声をかけてもらったのが最初のきっかけでした。「退院前に地域包括支援センターに連絡を入れておくといいですよ」と教えてもらい、その日のうちに電話しました。
正直、「地域包括支援センター」という名前すら知らなかった私に、担当の方は丁寧に説明してくれました。まずやるべきことは、要介護認定の申請。これを早めにやっておくかどうかで、その後の流れがまったく変わります。
申請から認定まで約1ヶ月かかります。私の場合、退院が先に来てしまったため、認定が出るまでの間は「暫定ケアプラン」という仕組みを使ってサービスを先行利用しました。これを知っていたかどうかだけで、母の退院直後の生活がずいぶん楽になったと思います。
「とりあえず買えばいい」と思っていた私の大失敗
介護が始まった当初、私はとにかくモノを買いそろえることに走りました。手すり、介護ベッド、滑り止めマット……。ネットで「介護 必要なもの」と検索しては、次々にカートに入れていきました。
でも、後からわかったのですが、介護ベッドや車いす、歩行器などの多くは介護保険でレンタルできるんです。購入してしまうと保険は使えません。私はベッドを先に買ってしまい、数万円を損した形になりました。
ケアマネジャーが決まってから聞いた話では、介護保険でレンタルできる福祉用具は13品目あります。代表的なものをまとめておきます。
- 介護用電動ベッド(特殊寝台)……背上げ・脚上げができるタイプ。寝たきり予防にも効果的
- 車いす(手動・電動)……屋内外の移動に。クッションや付属品もレンタル対象
- 歩行器・歩行補助つえ……転倒リスクを大幅に減らしてくれる
- 床ずれ防止用具(エアマット)……長時間同じ姿勢が続く方には必需品
- スロープ・段差解消機……玄関や廊下の段差対策。工事不要で設置できるものも多い
これらをレンタルすれば、自己負担は月額の1〜3割で済みます。電動ベッドなら月1,000〜2,000円程度で借りられることも。先に買わなくてよかった……と本当に思いました(遅かったけれど)。
自宅を「介護仕様」に変えるときに気をつけたこと
母が退院してきてすぐ気になったのが、家の中の段差と浴室の滑りやすさです。若い頃は気にもしなかった玄関の小さな段差が、松葉杖の母にとっては大きな壁になっていました。
手すりの設置や段差解消は介護保険の住宅改修費として最大20万円まで補助が受けられます。業者任せにせず、ケアマネジャーに相談しながら進めることで、補助の対象になるかどうかが変わってきます。事前申請が必要なので、工事の前に必ず確認を。
私が実際にやった改修は3つ。玄関の手すり設置、トイレの手すり追加、浴室の滑り止めシート設置です。合計費用は約12万円でしたが、補助を使って実質2万円程度の自己負担で済みました。
介護保険外の日用品は「専門ショップ」でまとめて選ぶのが正解だった
住宅改修や福祉用具レンタルは保険で対応できても、日常的に必要な介護用品——防水シーツ、使い捨て手袋、ポータブルトイレ用消臭剤など——は保険外になります。
最初はドラッグストアをあちこち回っていたのですが、品揃えが限られていてストレスでした。そのとき知ったのが、介護用品を専門に扱うオンラインショップの存在です。
種類が豊富なのはもちろん、介護の状況を伝えると商品を提案してもらえるサービスもあって、慣れない私にはとても助かりました。まとめ買いで配送コストも節約できるので、今では定期的に利用しています。
▼ 私が実際に使っている介護用品専門ショップはこちらです(幅広い品揃えで初めてでも選びやすい)
ケアマネジャーとの関係づくりが、在宅介護を長続きさせる鍵だった
最初に担当ケアマネジャーと顔を合わせたとき、正直「お役所的な人だったら嫌だな」と思っていました。でも、私のケアマネさんはとても話しやすい方で、母の状態だけでなく、介護をする私自身の負担についても気にかけてくれました。
ケアマネジャーは月に1〜2回の定期訪問があるのですが、私はそれ以外にも「夜中のトイレの回数が増えた」「食欲が落ちてきた」といった変化をこまめに連絡するようにしました。小さな変化を早めに共有することで、ケアプランが適切に見直され、サービスの内容も調整されていきます。
もし「担当者と合わない」と感じたら、変更をお願いすることもできます。介護は長期戦です。無理に関係を続けるより、信頼できる人と組むことが大切だと、この2年で実感しています。
あのとき知っておきたかった3つのこと
最後に、介護が始まる前の自分に伝えたいことをまとめます。
- 要介護認定の申請は「入院中」から動ける。退院を待たなくていい
- 介護用品はケアマネジャーが決まってから買う。レンタルで済むものが多い
- 自分の体と心も守る。介護疲れで倒れたら、元も子もない
親の介護は、いつ始まるかわかりません。でも「突然」だったとしても、知識さえあれば落ち着いて動けます。この記事が、同じ59歳・60代の誰かの助けになれば、書いた甲斐があります。


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