毎月2万5千円以上が保険料で消えていた。
それに「おかしいな」と気づいたのは、59歳の春にすべての引き落としを書き出したときだ。電気代、スマホ代、サブスク——ひとつずつ確認していくと、保険の欄に並ぶ金額に手が止まった。生命保険、がん保険、火災保険、自動車保険、医療保険……気づけば5つの保険に入っていた。30代のときに加入して以来、ほとんど内容を確認していない。「万が一のために必要だから」と言い聞かせて、ずっと払い続けていた。「本当に全部必要なのか」と、初めて本気で考えた。
保険を見直す前に整理したこと
まず、すべての保険の証券を引っ張り出した。実家の書類入れの奥から出てきたものもあって、正直どんな保険に入っているかも把握できていなかった。整理してみると以下の状態になっていた。
| 保険の種類 | 月額保険料 | 加入時期 |
|---|---|---|
| 生命保険(死亡保障) | 8,200円 | 32歳 |
| がん保険 | 3,100円 | 40歳 |
| 医療保険 | 4,500円 | 38歳 |
| 火災保険 | 3,800円 | 住宅購入時 |
| 自動車保険 | 6,400円 | ずっと継続 |
合計月額:26,000円。年間312,000円。この金額を見て、少し頭がクラクラした。「こんなに払っていたのか」という驚きと、「これだけ払っていながら内容を把握していなかった」という恥ずかしさが混ざった感覚だった。
「いつ入ったか」で見直すポイントが変わる
保険の見直しを考えるとき、「何に備えているか」と「今もその備えが必要か」を分けて考えると整理しやすい。私の場合、30代に加入した生命保険は「子どもへの備え」が主な目的だった。59歳になった今、子どもたちは全員独立している。住宅ローンも完済済みだ。死亡保障の金額が今の自分の状況に合っているか、改めて見直す必要があった。
ファイナンシャルプランナーに相談したところ、「60歳以降は死亡保障の必要額が下がることが多い」と言われた。特に子どもが独立し、住宅ローンがない場合は、高額な死亡保障を継続する意味が薄れる。一方で、医療保険とがん保険については「公的保険だけでカバーしきれないリスク」があるため、単純に削るのは慎重に考えるべきだとも言われた。
実際に何を見直したか
生命保険(死亡保障):減額した
保障額を3,000万円から1,000万円に変更。月の保険料が8,200円から3,600円に下がった。差額は月4,600円。年間55,200円の削減になる。
がん保険:継続(内容は確認・更新)
がんの治療は長期化することが多く、公的保険の限度額を超えることもある。がん保険は残したが、内容が古かったので現在の治療に対応した新しいプランに切り替えた。月額はほぼ変わらず。
医療保険:継続(入院一時金型に変更)
高額療養費制度があるので長期入院でなければ補完額は多くない。入院初日からの給付に変更し、掛け捨てで安いプランに切り替えた。月3,000円に削減。
火災保険:内容見直し、家財保険の金額を下げた
子どもが独立して家財の量が減った。家財保険の金額が過剰だったため、適切な金額に見直した。
自動車保険:次回更新時にネット型へ変更予定
今回はそのまま継続。ネット型への切り替えで年間1〜2万円削減できる可能性があるので、次回更新時に比較予定。
見直し後の変化
見直した結果、月の保険料の合計は26,000円から19,200円に。差額は月6,800円(年間81,600円)だった。「思ったより節約できた」というのが正直な感想だ。一方で、保険の内容を一切確認せずに20年以上払い続けていたことへの反省もある。
特に生命保険は、加入した時点では必要だった。でも子どもが独立した今、保障額はずっと見直されないままだった。「削れる保障」を削るだけで、手元に残るお金が変わる。この気づきは、保険に限らず固定費全体の見直しにも通じるものがある。
保険を見直すときの注意点
解約前に必ず確認:告知義務と健康状態
新しい保険に加入する場合、現在の健康状態によっては入れないことがある。「今の保険を解約してから新しいものを探す」ではなく、「新しい保険に入れることを確認してから解約する」順番が正しい。私の場合、血圧の治療歴があったので特に注意した。順番を間違えると、古い保険を解約した後に新しい保険に入れないという事態になりかねない。
払済保険という選択肢もある
保険料の払い込みを止めても、その時点までの保険料に見合った保障が続く「払済保険」という制度がある。解約はしたくないが保険料の支払いは止めたいという場合に使える。内容は保険会社に確認。
FP(ファイナンシャルプランナー)に相談するのが確実
私は無料相談窓口を使った。保険会社の営業ではなく、複数の会社の商品を比較してくれる独立系のFPのほうが、偏りなく見てもらいやすい。費用がかからない相談窓口も多いので、まず話を聞いてみることをおすすめしたい。
「削ってよかった」と「削らなくてよかった」を正直に書く
見直しをしてみて、削ってよかったと感じたのは、死亡保障の減額と、使っていないオプションの解除だった。一方で、削らなくてよかったと感じたのはがん保険と医療保険だ。「高齢になるほど医療費のリスクは増える」という現実がある。老後の医療費については専門家も「想定以上にかかることが多い」と言う。安易に削ると、将来の自分が困ることになる。
保険の見直しは「削ること」が目的ではなく、「今の自分の生活に合った保障に整えること」が目的だ。その視点を持つと、何を残して何を見直すかの判断がしやすくなる。
保険の見直しを終えて思ったのは、「もっと早くやればよかった」という後悔だ。30代に加入した保険を20年以上そのままにしていた。その間に家族構成も変わり、住宅ローンも終わり、子どもも独立した。生活の中身が大きく変わっているのに、保険だけが昔のままだった。保険は「入ったら終わり」ではなく、「ライフステージに合わせて見直すもの」だと、59歳になってようやく実感した。定年前のこのタイミングが、見直しの最後のチャンスかもしれないと思って動いたことは、正解だったと今は思っている。
保険料を見直して浮いた月6,800円は、老後の積立に回すことにした。年間約8万円。10年で80万円になる。「削る」のではなく「本当に必要なものだけ残して整える」という発想で動いた結果だ。定年後の生活費の不足を少しでも埋めるために、今できることから手をつけていきたいと思っている。
まとめ
59歳で保険を本気で見直したのは、「これだけの金額を払っているのに、何に入っているかわからない」という状態に気づいたからだ。見直し後、月6,800円が浮いた。年間で8万円以上。それを積み立てに回すだけで、老後の備えが一歩前進する。保険は「入ることで安心する」という側面もある。でも、内容を理解して払っているのと、何となく払い続けているのでは全然違う。60歳前のこのタイミングで、一度すべての保険証券を引っ張り出してみることをおすすめしたい。
保険の見直しと同時に、固定費全体を整理した話は定年前に固定費を見直したら月1万円浮いた|59歳が実践した4つの節約術にまとめている。
実際に3つの保険を解約した体験談は59歳で保険を3つ解約したら月5,000円以上浮いた話にも詳しく書いた。
電気代や通信費とあわせて見直すなら電気代、「言われるがまま」になっていませんか?も参考にしてほしい。電気・スマホ・保険の3つを整理するだけで、月の固定費が大きく変わってくる。


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